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Lo Stemma del Biscione

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無双であれ。〜SUVと呼ぶなかれ〜

Categoryフェラーリなこと
9月13日、
トスカーナ州ピサ近郊ラヤティコの丘にあるテアトロ・デル・シレンツォという
自然の円形劇場の何もない場所に特設の会場を設営して
Ferrari Purosangue(フェラーリ・プーロサングエ)がアンヴェールされた。
名前は直訳すると純血、つまりサラブレッドという意味。
隠し撮りされた写真がSNS上でリークされたのを受け、予定より早いワールドプレミアとなった。
この発表イベントは世界中の主要な顧客が招待され特別な夕べが4夜繰り返し催された。

コマーシャル&マーケティング部バイスプレジデントのエンリコ・ガリエラが
”Different Ferrari For Different Moments”と前例のないこのモデルを紹介し
テクニカル最高責任者のジァンマリア・フルジェンツィは
パフォーマンスとドライビングエモーションを保証するために
全てのコンポーネントがどの様に設計され妥協のなく開発されたかを説明した。
最後にスタイリング・ディレクターのフラビオ・マンツォーニが、
と造形が音楽という一つの定義された方法でデザインされたと表現し、
彼自らピアノで演奏したキース・ギャレットの曲の調べがV12の咆哮とシンクロすると、
ビアンコ・イタリア(白)、ネーロ・プーロサングエ(黒)、グリージオ・チタニオ(チタンシルバー)、
ロッソ・ポルトフィーノ(赤)の新色を纏った主役がいよいよの登場。

全長4970全幅2030全高1590。FR255/35R22,RR315/30R23。
GTC4Lussoから受け継ぐアーキテクチャーの進化型スペースフレームに
マルチマティック社のTASVダンパーを装備したアクティヴサスペンションを履く。
刻々変わる路面状況に最大の動力を伝えるため48Vで作動する電動モーターにより
各々のタイヤで数ミリのストローク調整を1分間に最大15回行う。
また段差の通過など必要に応じて80㎞/ hまでで3㎝車高を上げることができる。

エンジンは当初 GTC4Lusso–Tからの流れでV8を搭載するかと思われたが、
F140系自然吸気6.5ℓの65°V12を搭載。725ps/7750rpm、73kgm/6250rpm。
公称で最高速 310km/h 、 0 ~ 100km/h 加速 3.3 秒 。
PTUを介してフロントアクスルにダイレクトに動力を伝達する新4WDシステム
4RM-S Evoを組み合わせたDTCロボマティック8速変速機はトランスアクスルでリアに搭載され、
2180kgの車重をFR49%:RR51%に配分される。
マネッティーノと呼べるダイアルでドライヴィングモードを
ICE、WET、COMFORT、SPORT、ESC OFFから選択できる。

風による彫刻と謳うボディデザインはエアロディナミクスを何度も練り直した成果。
V型12気筒をフロントミッドに配置したお陰でクーペの如くスラントノーズになっている。
しかしこれは前車軸後方に少なくとも6気筒分の縦スペースをキャビンを後方に押しやることを意味し、
かたや3018mmのホイールベースはフェラーリでは異例の長さで
ハンドリング性能との妥協範囲外のあったとしても4座のレイアウトでは前よりの配分となりその結果、
後席着座点から後輪車軸までのディスタンスは短くなる。
よって大径のリアタイヤも相まって後席の居住空間は制限され乗降性の悪化の要因となった。
‘’Come Nessun’Altra”(他に類をみない)という謳い文句の象徴的特徴の一つが後方に開くリアドア。
ユニークであるためのソリューションであるが、
これは前述した後席へのアクセスの難易性を緩和する助けにもなっている。
あまり注目されていないがフェラーリ初の4ドアモデルは
フェラーリ史上で初めての独立したセンターピラーを生み出した。
初物であるためにその形状は独特でセダンやSUVを作り慣れたエンジニアからは異形に映るかもしれない。
このサイズとウエイトの車にはあまりにも細く見え更に黒く塗装が施されている。
これは開発初期には考慮されてなかったと言われるセンターピラーの存在を
極力薄めようという努力の表れだと考察する。

ヘッドライトとリアランプはSF90ストラダーレやローマのセオリーを踏襲する
ファミリーフィーリングからなるデザインリザルトと見える。
ここで王冠マークの某国産セダンから節操なく派生したSUVと
スタイリング上の類似が取りざたされている点について私なりの見解を述べたいと思う。
王冠マークがどうかはさておきプーロサングエは白紙に戻された期間を含む故マルキオンネ統治時代からの
長い開発期間を省みると他車からインスパイアされたなどあり得ないのは言わずもかな。
これはDRL をヘッドライトの上に配置したデザインがトレンドセッターになった潮流で
スポーツカーが目指す同じ方向を臨むと大体同じような到達点にたどり着くのは然るべき結果なのである。
意地悪な言い方をすれば誰もが考え得る安易なリザルトなのかもしれない。

長いエンジンフードは肝であるV12の赤いヘッドカバーを見せるがためかフロントヒンジで前方に開く。
ルーフは吸音材付アルミ製とオプションでカーボンコンポジットの他、液晶偏光グラスも用意される。
フェンダーにはデザイナーがこだわったというフローティングホイールアーチは
グロスブラックとカーボンファイバー製が用意されアクセントになっている。

ドライバーサイドに16’、助手席サイドに10.2’のディスプレイを配した左右対称デザインのダッシュボードには
マジックノブという格納から使用状態にワンプッシュで乗降する液晶付きダイアルがセンターに置かれ
4ゾーンのエアコンシステム等の操作ができる。このマジックノブは後席にも用意されている。
インフォテイメンントでは従来のApple CarPlayに加えAndoroido Autoも追加された。

あくまでも顧客の我儘な要望を満足させるために実現化されたプーロサングエは、
専用の工場を新設はせず既存のアッセンブリー
およそ1万台強を5年間生産されると見込まれいるところから
大量生産で利益を生むモデルではないと言える。

2023年の春からローンチされる予定だが今現在で1年以上のデリバリー待ち、
予約の段階で既に完売だという話もあるらしい。
車両価格は39万ユーロ(オプションを含まず)。


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